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バランスの取れた英語力を身につけるために

 

 こんにちは、円山アカデミーの飯島です。

 

 これまでの3回の記事の中で、北海道の英語教育の危機・英語教育の現状と変化について見てきましたね。
これらをふまえた上で、お子様が英語力を身につけるために必要なことは何でしょうか。

 既に書いた通り、「話す・聞く」だけに偏った教育は危険かもしれません。
 例えば英語力を測るために一般的なのは英検・TOEIC(SW)やTOEFL、あるいはGTECなどだと思います。
英会話ができればこれらのテストで高得点がとれるでしょうか?
 いいえ、高得点をとることはできません。なぜなら、これらすべてのテストで、読み書きの力も問われるからです。

 例えばTOEFLテストでは、Integrated Task(総合的な問題)というものがあります。
 つまり、複数の技能にまたがった問題が出されるということです。「話す」試験で「聞く」力や「読む」力も同時に問われるのですから、昔のように「読む」力に偏った勉強や、逆に「話す」力だけに偏った勉強をしていても解けない問題ということになります。

 一般的に言われているように、「話す」力、「書く」力が以前より重要になっていくのは間違いないことです。
 ですが、「話す」力の中には第3回で見たような「語彙力」や正しく話すための「文法力」も含まれている、ということを忘れてはいけません。実際にスピーキングテストでの「文法的な誤り」は、減点対象になっています。スピーキングだから単語を覚えなくていいとか、文法は全くやる必要がない、なんてことはないのです。

 ですから、「話す」力といっても、話す練習だけしていれば良いとは限りません。同じ話すでも、聞かれた内容に論理的に答える練習。同じ書くでも、文章を読んでそれに対応させて書く練習。
小中学生のうちから、少しずつこうした経験を積んでいくことが大事です。もちろん、最初は簡単なことからで構いません!

 4技能のいずれかに偏らず、バランスの取れた学習こそ、一番大事ではないかなと思います。

実は語彙力こそ足りていない!?

 こんにちは、円山アカデミーの飯島です。
 前回は、中学生が「話す」ことが苦手というのは正しくない、というお話でした。
 今回は語彙力が大事!ということをお伝えしたいと思います。

 研究によれば、1989年から始まったオーラル・コミュニケーション(聞く・話す)重視の政策によって、逆に高校入学時の英語力は低下した、とされています。これはいわゆる「ゆとり教育」により、そもそもの授業時数が減ったことも大きな原因だと考えられます。

 授業時数が減ったところに、コミュニケーションの授業も入れるとなると、どうしても「読む・書く」が犠牲になりますよね。
 下の表をご覧ください。

学習指導要領における「英語」で学習する語彙数の時代的変遷

 2000年代まで、学習する語彙数が徐々に減少してきたのがわかると思います。
 また、英語の授業時数が週3回⇒4回に増えた2008年に中学校での語彙数が300語も増えていることから、語彙力の低下が英語力低迷の要因の一つである可能性が高いと言えそうです。
 考えてみれば当然ですが、単語力がなければ聞いたり話したりすることもできないわけですから、重視していたはずのコミュニケーション力も身につかないわけですね。

 そこで今回(2017)の改正を見てみると、まさに劇的な変更が加えられています。
 今回の4000~5000語という水準は1960~70年代の水準と同じくらい。
 中学卒業まで2200~2500語という語彙数は、これまでの高校生の語彙数に迫っています。
 新学習指導要領でいかに語彙力が重視されているか、おわかりいただけるでしょうか。

 ところで、お隣の韓国は1997年、中国は2001年から、小学3年生以上に対して英語教育が導入されています。
 また、中国は都市部では小学1年生から英語を学びますし、他のアジア諸国でも小学1年生からという国は意外と多いです(台湾・タイなど)
 英語に関しては日本のはるか先を行くこれらの国でも、小学校の段階から読み書きを含む4技能の教育が重視されているようです。
 さらに、高校までの語彙数は韓国で7000~8000、中国で6000語程度という調査結果もあります。
これは一部のトップ校での話だと思いますが、一時期の日本の倍とは驚きですね!

 小学校からの英語の読み書きに反対意見もみられますが、隣国ではもう20年も前の話なのですね。
 今回の学習指導要領改訂は、むしろ遅すぎるくらいなのかもしれません。語彙力は4技能全てにかかわる力ですから、バランスの良い英語力を身につけるには、小学校のうちから単語の読み書きも大事にしていくべきではないでしょうか。

 

参考文献
英語教育に関する調査報告書 大森不二雄
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/cmsfiles/contents/0000391/391984/01siryo1.pdf


日本の英語教育における語彙指導の問題を考える 長谷川修治氏
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110009511103.pdf?id=ART0009972286


中国における英語教育の現状――日本の英語教育を再考するために―― 宮内敦夫2005

 

 

日本人はコミュニケーション英語が苦手ってホント?

 こんにちは、円山アカデミーの飯島です。
 前回は道産子の英語力の危機的状況についてお伝えしました。よく北海道民はおおらかと言われますが、あまりのんびりと構えていられる状況でもないようです。

 では、子供たちは英語の何を苦手としているのでしょうか。
 一般的には、日本人はコミュニケーション英語が苦手という意見が強いようです。
 本当にそうなのか、文科省の調査結果をみてみましょう。(表1)

 中学3年生の場合、意外と「話すこと」は得点できているのがおわかりでしょうか。
 A1上位レベル以上(英検3級程度以上)の生徒の割合を比べてみると、
 読むこと : 13.2%
 聞くこと : 16.6%
 書くこと : 17.3%
 話すこと : 31.2%
 となっています。基本となる「読む」「聞く」「書く」がしっかりこなせる生徒の方が、実は少ないのです。

 また、「書く」ことを極端に苦手にしている生徒も多いです。
 実に35.1%もの生徒がA1下位(英検5級程度)のレベルにとどまっているということは、中学3年生の3人に1人は中1程度の英作文すらあやしいということです。

 確かに高校生の調査だと「話す」が苦手な生徒は増えるのですが、少なくとも『日本の学生は「読み」「書き」はできるけど、「話す」「聞く」ができない』という、よく聞く言説は完全に誤りだといえるでしょう。

 考えてみれば私たちは、無意識に自分たちの時代の英語教育を前提に話してしまう傾向がありはしないでしょうか。今の子供たちは間違いなく、昔より英語の「音」に親しむ教育を受けています。「話すのが苦手」という固定観念にとらわれすぎると、英語力向上のために大事なことを見落としてしまう可能性がありますね。

 次回は、英語力が上がらない本当の原因は何かについて私なりの考えをお伝えしたいと思います。

 ありがとうございました。

北海道の英語教育は全国で最低ランク!?

 

こんにちは、円山アカデミーの飯島です。

 

2020年度から英語教育に大幅な変更があることは皆様ご存知ですよね。小学3年生から外国語活動、そして5年生から教科として英語が導入されます。

 

では身近なところで、北海道の英語教育は全国でどのくらいのレベルかご存知でしょうか?

 

……残念ながら、道産子の英語力は全国で最低ランクなのです。

 

下のグラフをご覧ください。

上位5県と下位5県のみを取り出してみました。北海道はなんと最下位。かなりショックな数字です。

 

札幌市のみで見ると少し数字は良くなりますが、それでも30.1%と上位には程遠い数字になります。

 

では、高校生も見てみましょう。

高校生になるとかなり改善されているのがわかりますが、それでも真ん中ぐらいなんですね。一方で高校1位の富山県は中学6位、高校2位の福井県は中学3位と、高校で上位に入る県は中学でも上位の傾向があります。

 

これは、やはり英語は積み上げの教科だということでしょう。どうやら私たち北海道民は、早いうちからの英語教育によりいっそう力を入れる必要がありそうです。

 

ただ、苦手分野がわからなければ、それに対する対策も立てられません。そもそも日本の子供たちは、いったい英語のどのような力を不得手としているのでしょうか。

 

次回は、日本の英語教育が抱える問題点について説明します。

ありがとうございました。